巡り愛
「お待たせしました!」
マンションの前に止まる大きな黒のRV車。
その助手席のドアに寄りかかって、にっこり笑っている圭さんは、普段の数倍・・・いや、数十倍かっこいい。
いつものスーツじゃなくて、ちょっとラフな白のサマーセーターに色落ちしたジーンズ。
そんなシンプルでカジュアルな格好が、嫌味なく似合っている。
色素の薄い圭さんの茶色の髪が、朝日に照らされてキラキラと輝いているように見えて、私は眩しくて目を細めた。
朝いちからこんなにドキドキしてて、今日1日もつのかな?
そんなことを本気で心配しながら、私はそれを隠すように笑顔で圭さんを見上げた。
「お待たせしちゃって、すみません」
「ううん、全然待ってないよ。早くあいに会いたくて早く来たのは僕の方だから」
輝くような笑顔で私を見つめる圭さんに、ドキドキと高鳴る鼓動は増すばかり。
見つめる私に圭さんは少し照れたように目元を染めて、「それに・・・」と呟いた。
「今日のあい、すごく可愛くてドキドキするな」
「え・・・・・・・・」
圭さんの照れた顔を思わず、じっと見つめてしまう。
圭さんも私にドキドキしてくれるの?
それがすごく嬉しくて。
圭さんのことを考えて頑張っておしゃれした私を褒めてもらえて。
キュンと甘い幸せな痺れが心を満たした。
「その顔も・・・可愛すぎるから。僕、今日1日もつかな?」
私が思っていたことを同じことを口にする圭さんが堪らなく愛しくなった。
「・・・・・私も。私も同じこと思ってました。今日の圭さん、いつもよりずっとかっこいいから・・・ドキドキし過ぎて、1日もつかなって」
「あい・・・ホント、可愛すぎ」
圭さんはさっきよりも赤みの増した顔をくしゃっと緩めて、照れたように笑うと、私の髪を優しく撫でた。
「それじゃあ、二人で一緒にドキドキしよう」
そう言って笑う圭さんは、かっこよすぎて大人の色気まで感じさせて、私をより一層ドキドキさせた。