巡り愛


「うん、美味しい!!」


「本当?」


口に入れた卵焼きを食べ終わって、すぐに笑顔で言ってくれた圭さんに嬉しくて、でもお世辞かも・・・と思いながら訊き返すと、圭さんは満面の笑顔で「本当」と頷いてくれた。


その笑顔にホッとした私は、圭さんと同じ卵焼きを口に入れた。
甘い卵焼きが、さらに甘く感じて。
それはきっと、私の愛情のせいと、圭さんの嬉しそうな笑顔のせいだと思って、一人でニヤケた。


「あい、料理が上手なんだね。いい奥さんになるね」


「え?」


何気ない圭さんの言葉に、思わず反応した私は伸ばしていたお箸を止めて瞬きして圭さんを見つめた。
その私の顔はきっと、真っ赤だ。


深い意味なんてないのかもしれないのに、圭さんに言われるとその意味を期待している私がいて。
見つめた視線を外せなくなった。


「・・・・・いつか、僕の“いい奥さん”になるね。僕って幸せ者だな」


「・・・・・・・・」


期待していた通りの言葉をもらって、私の顔はさらに真っ赤になった。
圭さんの目元もほんのり赤い。


今日ここまでの間にどれほどの幸せとドキドキをもらったのだろう。
ホントに幸せすぎて、私はふわふわした気持ちでお弁当を食べてくれる圭さんを見つめていた。


幸せすぎて、あんまり食べられなかった私の分まで圭さんが全部、お弁当を食べてくれた。


「あいの分まで食べちゃってごめんね。ホントに美味しくてお腹も心も満腹だ」


食べ終わった圭さんが笑顔で言ってくれた言葉が、何より嬉しかった。



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