巡り愛


駅ビルの中にあるカフェで二人で向かい合って座る。

それだけのことなのに、僕にはとても特別なことで。


少し緊張して運ばれてきたブレンドを飲みながら、どうやって話を切り出そうか・・・頭の中で思案していた。



「前にお会いしたことがあるっておっしゃってましたけど、いつ頃ことですか？」


思案する僕よりも先に口を開いたのはあいの方だった。


飲んでいたカフェラテのカップをテーブルの上に静かにおいて、あいが僕をまっすぐに見つめる。


「かなり前のこと・・・かな？」


僕は『前世』なんて言ってもにわかに信じてもらえないだろうと誤魔化すように答えた。


でもあいは納得できないのか、首を傾げながら僕をじっと見つめる。


（怪しまれてるな・・・）


僕はどうしたらあいに理解してもらえるのか頭を抱えたい気分で、小さく溜息を吐いた。


「・・・・・うそ、なんですか？」


「え？いやっ、うそじゃないよ」


訝しげに眉を寄せるあいに僕は慌てて顔の前で手を振って否定する。


（色々考えても仕方ないか）


僕はあれこれ取り繕うのはやめて、あいに僕の真実を話そうと決意して、まっすぐに彼女を見つめた。


「・・・これから話すことは嘘だとかキミをかからかってるとかじゃないって信じてほしいんだけど」


「・・・はい」


真剣な僕の表情と声にあいが圧されたように小さく頷いた。


「僕には生まれた時から『ある記憶』がずっと心の中にあってね・・・」



僕はあいにどう思われるだろうかと不安になりながらも、真剣に全てを話し始めた。


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