巡り愛


でも圭さんはなぜかそんな私に嬉しそうににこにこと笑い出した。


「あい、ヤキモチ妬いてくれたんだ。嬉しいよ」


恥ずかしげもなくにっこりと笑って、真っ赤な顔をしている私を見ている圭さんに私はますます恥ずかしくて顔を上げられない。


「ごめんなさい・・・」


小さく謝った私に圭さんは笑顔のまま、首を左右に振った。


「どうして謝るの?そんなことにもヤキモチを妬いてくれるあいが僕には可愛すぎて堪らないんだけど」


「う・・・ホント、ごめん」


恥ずかしさに真っ赤な顔を歪める私に圭さんは嬉しそうに声を上げて笑った。


「その矢野ってね、心臓内科の医師なんだけど。仕事柄、よく一緒に組むことが多いんだ。学生の頃からずっとだから、遠慮もないし、まあ、いいヤツなんだけどね」


圭さんは矢野さんのことを本当にいいお友達だと思っているんだと、私にもその言葉からしっかり伝わってきた。
きっと二人は仕事でもプライベートでもいい関係なんだろうと、想像がついた。


「あいのことも話してて、紹介しろって煩いんだよね」


「え?・・・私のこと話してるの?」


圭さんが矢野さんに私のことをどんな風に話しているんだろう。
しかも紹介だなんて・・・嬉しいけど、少し恥ずかしい。


「まあ、これまでの僕のことをよく知ってるからね。僕の変わりようが面白いらしいんだけど」


圭さんの変わりよう?


よくわからなくて首を傾げると、圭さんは少し苦笑いを洩らした。


「いいんだ、あいはその辺は気にしないで」


私はよくわからないまま、それでも気にしないでと言う圭さんの言葉に小さく頷いた。

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