巡り愛
「それで、今度矢野にあいを紹介するって約束させられだんだけど・・・会ってくれる?」
「・・・うん、私はいいけど。私で大丈夫かな?」
苦笑いの表情のまま圭さんに訊ねれれて、私は頷きながらちょっと不安になった。
圭さんの元カノの北野さんのことをちらっと思い出したから。
圭さんと付き合いの長い矢野さんなら、北野さんのことも知っているだろう。
あんな美人な元カノのことを知っている矢野さんが私のことをどう思うか、少しだけ不安がよぎった。
「大丈夫ってどうして?あいなら誰に紹介してももちろん大丈夫だよ。・・・まあ、矢野には本当は紹介したくないんだけどね」
大丈夫と言いながら、最後に小さく付け加えるように呟いだ圭さんの言葉に私は胸が痛んだ。
やっぱり、私じゃあ、ダメなのかな。
無意識に悲しい顔をしていたらしく、そんな私の顔を見て圭さんが急に慌てたようにハッとした。
「違うよ!あいはホントに誰に紹介しても大丈夫。みんなに自慢したいくらい。ただ僕が矢野に紹介したくないのは・・・・・アイツ、あいのこと気に入ってたからで・・・」
「へ?」
慌ててたように言う圭さんが、最後はバツが悪そうな顔をして呟いた言葉に私は間抜けな声を上げた。
矢野さんが私のことを気に入ってるって・・・なに?