巡り愛
「・・・アイツ、あいが僕の彼女だって知らない時に、たまたま図書館でキミのことを見かけて。僕に図書館にすごく可愛い子がいるって言ってきたんだ。すぐにあいのことだってわかって、『僕のだからダメだ』って言ったんだけど。今は矢野もちゃんとわかってるからいいんだけどね・・・でもやっぱりちょっと気になる」
いつになくボソボソと話す圭さんがらしくなくて。
その表情が照れているのか、少し機嫌の悪いようにも見える。
でも目元は仄かに赤く染まっていて。
何だかとても可愛い。
「私のことを紹介するのが恥ずかしいとかじゃないんだね?」
「まさか!あいは僕の自慢の彼女だよ」
私の言葉に顔を上げてはっきり言い切ってくれる圭さんに私は嬉しくて、満面の笑顔を彼に向けた。
「ありがと・・・矢野さんと会うの楽しみにしてる」
そう私が答えると、圭さんはホッとしたような顔をして、でもすぐに複雑そうに眉を下げて小さな溜息を吐いた。
「・・・・・僕はやっぱりあんまり気乗りしないけどね」
「そんなに心配しなくても、私は圭さんだけが好きだよ?」
私の言葉に圭さんは目を見開いて、私から視線を逸らせた。
その顔が真っ赤になっていて、言った私まで照れて同じように真っ赤な顔をして苦笑した。
「あい・・・可愛すぎるし、その台詞、反則だ」
真っ赤な顔のまま、ぼそりと言った圭さんは、でもすぐに嬉しそうに顔を緩ませて私の顔を見ると、ふわっと華が綻ぶような笑顔を浮かべた。
その笑顔がとても綺麗で。
すごく幸せそうに笑ってくれる圭さんに、私も照れながら心からの笑顔を返した。