巡り愛
心電図検査の後も、いくつかの検査を受けて、すべて終わった頃にはお昼前になっていた。
「あい、お疲れ様」
私の検査をずっと近くで見てくれていた圭さんが、検査服から私服に着替えて部屋から出てきた私を笑顔で迎えてくれた。
慣れないことをしたせいで少し疲れていたけれど、圭さんの笑顔を見ると癒される。
「ずっとそばにいてくれてありがとう」
だから私も笑顔で感謝の気持ちを口にした。
一人だったらきっと、慣れない検査にもっと不安も大きかったはず。
でもずっと圭さんが見ていてくれたから、安心して検査できた。
本当はお仕事だってあるはずなのに、私のそばにいてくれた圭さんの私を想ってくれる気持ちがとても嬉しかった。
矢野先生には『過保護すぎる』と笑われたけど。
やっぱり機嫌の悪い顔で『煩い』と矢野先生に言い放つ圭さんだけど、それは照れているからだって気付いた。
矢野先生も看護師さん(山本さんって名前だと検査の後、圭さんが教えてくれた)も圭さんと私に向ける笑顔は温かで。
圭さんを安心させるために受けた検査だったけど。
意外な圭さんをたくさん見れた気がして、私は幸せな気持ちでいっぱいだった。
白衣を着るお医者様の圭さんも。
矢野先生にからかわれて機嫌の悪くなる圭さんも。
心配し過ぎるくらい私を気遣ってくれる圭さんも。
みんな、みんな愛しくて堪らない。
検査結果は1週間後ということで、私は来週の同じ時間に予約を入れて、その日は帰宅した。