巡り愛
「あいさん、今日は圭さんとお出かけだったの?」
病院へ戻ると、あいの担当をしている看護婦の関さんが笑顔で声をかけてきた。
あいは嬉しそうに頷くと、自分のベッドのある病室へと入って行った。
・・・・・そう、あいはここに入院している。
もう半年以上になる。
元々、生まれつき心臓が弱かったあいは、子供の頃から体も弱くて、よく体調を崩していた。
僕とあいの両親は友達同士で、僕らは小さい頃からよく一緒に遊んでいた。
体の弱いあいが心配で目が離せなかった僕は、いつの間にか彼女を誰よりも愛しい存在だと思うようになった。
いつの間にか・・・ではなくて、きっと最初からそうだったんだと、今は確信しているけれど。
大人になってもあいが心配で、僕は暇さえあれば彼女のそばにいた。
あいもそんな僕を嫌がったりしないで。
そばにいる僕にいつも嬉しそうにしてくれていた。
我慢できずに『好きだよ』って言ったのは僕の方から。
すぐに返された『私も好き』ってあいの言葉に僕はこれ以上ないほどの幸せで満たされた。
でも幸せばかりは続かなかった。