巡り愛
「圭さん、どうしたの?」
病室に入り、ベッドに座るあいが不思議そうに僕の顔を見上げている。
つい物思いに耽っていた僕は、あいに笑顔を向けながら『なんでもないよ』と首を振った。
「あい、疲れてない?」
ベッドに座るあいに近づいて、その髪を撫でながら訊く僕にあいは頬を薄らと赤くして柔らかく微笑んだ。
「大丈夫。圭さんと一緒に出掛けられてとっても楽しかったし、嬉しかったから。私、すごく幸せ」
「うん、僕も幸せだよ」
髪を撫でる手を止めずに、あいと視線を絡ませて笑い合うこの瞬間は確かに何よりも幸せな時間だ。
この幸せが永遠であってほしいと。
切望せずにはいられないほどに…――――