巡り愛

「あい、それじゃあまた明日来るね」


「・・・うん」


そろそろ面会の時間も終わりだから、まだ一緒にいたいと思う気持ちを抑えて、僕はあいの頭に手をのせて、笑いかけながら言った。
そんな僕を上目づかいに見上げながら、あいは悲しそうに表情を曇らせる。


『まだ離れたくない』


言葉ではなく、僕を見上げる瞳でそう言ってくるあいに、僕は堪らなくなってギュッと強く抱き締めた。


「明日も朝から来るから。すぐだよ・・・そんな顔しないで」


腕の中のあいの耳元で宥めるように囁く僕に、あいは僕の胸に顔を埋めたまま小さく頷いた。


「我儘言ってごめんね」


「あいの我儘は僕には嬉しいものだから」


抱き締めたまま、そう囁きを落とせばあいは真っ赤な顔で恥ずかしそうに僕のシャツの裾を握って、眉を下げる。



そのあいの可愛さに離れたくないと思うのは、僕の方だ。




本当に・・・・・堪らない。