巡り愛
仕事と言っても、父の家業の手伝いをしているだけの僕。
日中はできるだけあいのそばにいたいから、その分、夜仕事をしている。
そんな僕を両親は快く認めてくれていた。
あいが入院してから、彼女の支えが僕だということを両親も理解してくれていて。
元々小さい頃からあいを知る両親は、今はあいのことを優先すればいいと僕の好きにさせてくれている。
本当は無理して夜に仕事をしなくてもいいと言ってくれるけれど、甘えさせてくれる両親の少しでも役に立ちたかった。
それに、一人前の男になってあいとの未来を一緒に生きるためにも、仕事にも妥協はしたくなかった。
普段は夜にしか仕事をしない僕も、父がどうしても助けがほしいという時は昼間にも仕事をする。
そんな時は事前にちゃんとあいに話をして、仕事が終わったあと、病院へ行くことにしていた。
その日も父が抜けられない会合があって、昼間、人手が足りないからと僕は病院へは行かずに、仕事場にいた。
あいにはいつのもように、仕事が終わったら行くからと伝えてある。
あいもよくわかってくれているから、素直に『待ってる』と言ってくれていた。
少しでも早くあいのところへ行けるように、僕は懸命に仕事をこなしていた。
―――…外は土砂降りの雨だった。