巡り愛
「・・・心配かけて、ごめんなさい」
圭さんに心配をかけてしまったことが申し訳なくて、小さな声で謝ると、圭さんは私の瞳を見つめたまま、優しく笑って首を左右に振った。
「謝るのは僕の方だ。・・・不安にさせて、ごめん」
「・・・・・圭、さん?」
圭さんの口から発せられた苦しげな声に、私は心が掴まれたみたいに痛くなる。
じっと私を見つめる圭さんと、しばらく言葉もなく見つめ合う。
ドキドキとまた嫌な動悸が波を打ち始めた。
「あい、もう大丈夫だから。僕はもう不安に落ちたりしない。キミを不安にさせたりしない」
無意識に胸に手を当てて、顔を歪ませていた私を圭さんはさっきよりもさらに強く抱き締めた。
圭さんの言葉と、その抱き締めてくれる腕の強さに不規則に大きく打ち出していた鼓動が、ゆっくりと落ち着いていく気がした。
やっぱりこの腕の中にいれば、私は幸せなんだ。
私を抱き締める圭さんの背中に腕を回して、私はその思いを込めて抱き締め返した。