巡り愛


夕食までの時間、2人で散歩に出かけた。


圭さんが幼い頃に遊んだという旅館の裏側にある遊歩道をゆっくり歩いたり。
旅館から少し下ったところにあるお土産屋さんを覗いたり。


お土産屋さんのおばさんは圭さんを子供の頃からよく知っているみたいで、少しびっくりした様子で話しかけられた。


「あら、圭ちゃんじゃない。帰っていたの?・・・まあ、こちらの可愛らしい人は圭ちゃんの彼女?」


圭ちゃんと呼ばれているのが新鮮で、その呼び方に照れている圭さんが可愛くて。
『圭ちゃんの彼女』って言われたことも、それに圭さんが照れながら頷いていたことも。
少し恥ずかしいような、嬉しいような・・・ふわふわした気持ちで私はずっと笑顔で圭さんの隣に立っていた。




夕食前に温泉に入ろうと、旅館に戻ってきて2人で一緒に露天風呂のある大浴場へ行った。


平日だからか他の宿泊客の人達はまばらで。
温泉ものんびりと入ることができた。


圭さんのお母さんがいいお湯だと言っていた通り、少し乳白色のお湯は柔らかくてとても気持ち良かった。
露天風呂から見る景色も、その造りもとても素敵で。
贅沢な気分になりながら、温泉を堪能できた。



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