巡り愛


そんな圭さんに私の方がもっと照れてしまって、頬に集まる熱がさらに上がる。


圭さんは私の頬に添えていた手を離して、私の頭をくしゃりと撫でた。


「部屋に戻ろうか。そろそろ食事の用意ができている頃だ」


「うん」


差し出された手に指を絡めるように手を重ねて、私は照れた赤い顔をまま頷いた。



部屋に戻ると、すでに夕食のお膳が並べられていて、その豪華なお料理の数々に感嘆の声を上げてしまった。


「すごく豪華なお料理!・・・なんだか気を遣ってもらってるみたいで申し訳ないね」


豪華すぎるお料理が逆に申し訳なくて、お膳の前に座ってそう言うと、圭さんはクスクスと笑い声を上げる。
それがどうしてかわからなくて、圭さんを見つめて首を傾げる私に圭さんは柔らかな笑みを浮かべた。


「そうやって気にするところがあいらしいね。でもあいに喜んでもらいたくて用意してくれたんだから、気にしないでいっぱい食べてやって」


「・・・はい」


圭さんにそう言ってもらった私は、感謝の気持ちを込めて手を合わせて『頂きます』と言って、箸を取った。


色鮮やかで、繊細な細工のされたお料理は、その見た目通りにとても美味しくて。
一つ一つに感激しながら食べるわたしを圭さんは穏やかに見つめている。


「これ、美味しい!」


と子供みたいにはしゃぐ私はお料理の美味しさと、私を見つめる圭さんの優しい眼差しにずっとふわふわした気持ちで箸を進めていた。



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