巡り愛


ゆっくりと重なる唇。


さっきまでの激しいキスとは正反対の優しいキス。


しっとりと唇を喰むように何度も角度を変えて交わるキスは、お互いの想いを注ぎ込んでどんどん深く甘くなっていく。


「・・・ん・・ふ・・んっ」


私からすべてを奪うようなキスなのに、圭さんからすべてを与えられるようなキスは私の思考回路を壊してしまうほどで。


キスがこんなに気持ちいいなんて、知らなかった。


キスが深くなっていくのと比例して、トロトロに溶けていくように体から力が抜けていく。


圭さんの腕にしがみつくのが精一杯な私を圭さんは、私の頭の後ろと背中に回した手で支えるように強く抱いてくれる。


ただ夢中で何度もキスを交わして、与えてくれる圭さんの想いを感じていた。


私の背中を支えていた手を前に回して、圭さんが浴衣の紐の結び目を解く。


キスの合間に零れる甘い声と水音の隙間に紐を引き抜く音がシュルシュルと響いた。


紐を引き抜かれた浴衣の隙間から肌が露わになる。
なんだかそれがすごく恥ずかしくて、私は緩まった襟元をキュッと握り締めた。


その私の手にそっと手を重ねた圭さんは、私が握り締めていた浴衣を静かに奪った。


「すごく綺麗だ。だから、隠さないで」


掠れた少し低い声で囁かれて、胸の中に甘い痺れがいっぱいに広がる。
 


< 208 / 304 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop