巡り愛
あっという間に私のマンションの前に到着してしまって、いざ、圭さんと離れなきゃいけないと思うと、なんだかとても寂しくなった。
入院した日から思えば、2日間も圭さんとずっと一緒にいたのに。
それでももっと一緒にいたいと思うなんて、離れたくないと思うなんて重すぎるだろうか?
一緒にいた時間が長ければ長いほど、離れる寂しさが増すんだって、初めて気付いた。
「あい、部屋まで送ろうか?」
私が黙ったまま車から降りようとしないから、気遣ってくれた圭さんは優しく声を掛けてくれた。
私はそれに小さく首を左右に振る。
「ありがとう、大丈夫。お仕事頑張ってね」
意を決したように言葉を発して、私は鞄を強く握るとドアに手をかけた。
「あい・・・待って、忘れ物」
圭さんに手を引かれて、振り向くと圭さんの綺麗な顔がすぐ目の前にあって、私は大きく鼓動を揺らして息を呑んだ。
チュッと音を立てて、キスをした圭さんはギュッと私を抱き締めた。
「離れたくないな・・・仕事に行くだけなのに、なんだか寂しい」
「圭さん・・・」
圭さんも私と同じ気持ちだったことが嬉しくて。
私は圭さんの背中を強く抱き締め返した。
「私も寂しいよ・・・圭さんはこれからお仕事なのに我儘言っちゃいそうなくらい寂しい」
「あいもそう思ってくれてるの?・・・なんかすごく嬉しいかも」
コツンと額と額をくっつけて、圭さんがふわりと微笑んだ。
それが本当に嬉しそうで、とっても綺麗でかっこよくて。
私はドキドキと高鳴る鼓動を止められない。