巡り愛


【圭side】


幸せだった。


“幸せ”っていう言葉の意味を今まで知らなかったんだと思うほど、僕は本当に幸せでいっぱいだった。


たった一人、想い続けてきた人。


時を超えて。


僕が愛したただ一人の人。


彼女に出逢えたことが奇跡で運命だった。


その奇跡がとてつもなく嬉しい反面、とても怖くて。
心の中にある記憶と今の彼女をダブらせて、根拠のないことに怯えていた。


もう二度と離したくなくて、消えてほしくなくて。


愚かで弱い僕は結局彼女を苦しめた。



だけど、そんな僕をあいは愛してくれて。
僕に彼女のすべてを与えてくれた。


こんなに幸せなことが他にあるだろうか。


初めて手に入れた“幸福”も“愛情”も。
あいが教えてくれた。



僕はあいに同じだけ返せているかな?


あいも僕と同じように『幸せだ』と思ってくれているかな?







ねぇ、あい。
僕はキミが僕のそばにいてくれて、こんなにも幸せだよ。



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