巡り愛


今日は週が明けた月曜日。
職場で倒れて入院してお休みさせてもらってから初めての出勤だった。


退院した翌日に一応、上司である課長宛に電話で報告はしていた。
課長は圭さんからも連絡を受けていたからか、特に何も言われることはなく、逆に『しっかり休みなさい』と温かい言葉をかけてくれた。


実際、私の抱えていた不安がなくなって、圭さんとの関係もこれ以上ないほどうまくいっているから体調もどちらかと言うと、とっても快調で。
なんだか突然できた数日間のお休みが申し訳なかった。


だから、今日、久々に出勤するのが少し・・・緊張する。


私ってホント、小心者だな。


自分でも呆れるくらい、小さなことも気になってしまう。


そんな私の様子に敏感に気付いてくれた圭さんは、家を出る前に私を励ましてくれた。


「あい、大丈夫。僕が連絡した時も課長さんはとても親切だったし、みんなが優しい人達だってあいもよくわかっているだろ?中野さんもいるし、今日からまた頑張って仕事すればいいんだよ」


私が玄関で無意識に吐いていた溜息を聞いた圭さんは、私の髪を優しく撫でながら私を安心させるように微笑んでくれた。


笑顔で私を見つめてくれる圭さんは、私の心をぽっと温かくしてくれる。


私のことを愛しげに見つめてくれるこの瞳が本当に大好きだ。


うじうじと考えていたことが嘘のように、圭さんのその笑顔と一言が私の気持ちを軽くしてくれた。


圭さんの言うとおり、休ませてもらった分、今日からまた頑張って仕事をしよう!


そう思えるんだから、圭さんは私に魔法をかけるのが本当に上手だと思う。


圭さんの笑顔も瞳も言葉も。


私に向けてくれるそのすべてが私には他と比べられないくらい大切で、私を変えてくれる魔法だと思う。



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