巡り愛


でも、中野さんの口から出た“同棲中”という言葉が、少し恥ずかしい。


圭さんはあれから毎日、仕事の後、私の部屋に帰って来てくれていた。


プロポーズしてくれた時に、圭さんのお家へ引っ越してきてほしいと言われて、私は早速自分の部屋を解約する手続きをした。
圭さんが本気で引っ越しを望んでくれていたから。


解約手続きから1か月後が解約のタイミングになるそうで。
それまでの間に圭さんのお家へ引っ越すことになった。


解約までの間は私の部屋で引っ越し準備も兼ねて、2人で過ごそうと圭さんと話し合って決めた。


その間に必要になる圭さんの荷物を取りに、初めて圭さんのお家にも行った。
圭さんのお家はうちと同じようなマンションだったけれど、私の部屋よりも部屋数も多いし、広さも断然広かった。


2人で住むなら、やっぱり私の部屋より圭さんのお家の方が向いている。


でも圭さんはそこを結婚後の新居にするつもりはないらしい。


結婚するまでに、2人で新居を探そうと言ってくれて。
一緒に住む私と一緒に探して決めたいと言ってくれた圭さんの気持ちがとても嬉しかった。


短い期間に引っ越しが続くことを圭さんは気にもしていたけど、幸せが膨らんでいくための手間なら私は全然構わないと思った。



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