巡り愛
「・・・・・・・・」
私は彼の言葉を信じられない気持ちで聴いていた。
真摯に紡がれる言葉は『前世の記憶』なんて、とても信じがたい内容だったけれど。
そんなことがあるのかどうかよくわからなかったけれど。
でも・・・嘘だとは思えなかった。
彼の言葉を聴いているうちに、私の心の中でやっぱり“何か”がザワザワとざわめく。
私を見つめる彼の瞳を見つめ返していると、心の中に溢れてくる“何か”が確かに存在していて。
私は混乱した頭で必死にその答えを探し出そうとしていた。
「僕の中にはずっとキミがいたんだよ。キミと過ごした日々は今もここに残っていて、鮮明に思い出せる・・・こんなこと言って、変に思うかもしれないけど・・・僕にとってはすべてが真実だと感じるんだ」
黙ったままの私をじっと見つめて、彼が言葉を重ねる。
その言葉が本当に真剣で真摯で・・・私の中の“何か”が一瞬、はっきりと見えた気がした。
『圭さん…―――』
心の中で私が名前を呼ぶ。
いや・・・、これは私じゃない。
その名前を呼ぶ声は確かに私だけど、でも“今”の私じゃない。
ああ…―――、これが“前世”ってこと?
どう理解すればいいのかわからない感覚が私を襲う。
とても混乱していて、うまく自分の気持ちがコントロールできない。
でも。
今、私の目の前で真摯に私を見つめるこの人は・・・
“圭さん”だ。
私はそれだけは強く確信していた。