巡り愛
私の世界が輝いて見えるほどの幸せの始まりは・・・
あの日、駅で転びそうになった私を圭さんが抱き締めるように助けてくれたあの瞬間から。
たくさんの葛藤があったはずなのに、出会ったばかりの私に圭さんが“あの頃”のことを話してくれたあの時から。
私が圭さんを思い出したあの時から。
―――…偶然の出会いが2人の運命を巡り合わせたあの瞬間から。
私の幸せは始まっていたんだ。
それはきっと。
“あの頃”の彼らの来世に託した希望が起こした奇跡。
彼らが望んだ幸せを。
彼らが叶えることのできなかった幸せを。
私は圭さんと一緒にこれからも叶えていきたい。
そして何よりも。
私自身が圭さんと一緒にこれからもずっと輝く世界の中で幸せでいたいんだ。
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「あい」
圭さんの小さな声が優しく私の名前を呼ぶ。
その声に鏡の前に座る私はゆっくりと振り返った。
「・・・・・・・・」
ドアの前に立つ圭さんは一瞬、息を呑むとふぅーっと長い溜息を吐いた。
「圭さん?」
その反応に私はちょっぴり不安になった。
いつも着慣れないものだから、変なんだろうか?
・・・似合ってないのかな?
衣装合わせの時はちゃんと似合ってるって言ってくれていたのに。
メイクも髪型もいつもと違って華やかだから、似合わない??
何も言ってくれない圭さんに、私はどんどん自信がなくなっていく。
せっかく今日という特別な日のために着飾ったのに。
白いタキシード姿のいつもより数段かっこよくて素敵な圭さんに見合うようにって。
純白のウエディングドレス・・・私に似合ってない?