巡り愛
すべてはキミにだけ
今日は月に1度の診察の日。
最近はほとんど不整脈らしい症状も出ないし、いたって健康な私だけど、念のためとこうして定期的に矢野先生の診察を受けていた。
いつものように心臓内科の受付前の椅子に座って順番が来るのを待っている。
今日は圭さんも午前中は外来担当だと言っていたから、前みたいに一緒というわけではなかった。
『矢野のヤツ、わざわざ僕が外来担当で一緒に行けない日に予約を入れるなんて、信じられない』
というのは、圭さんの言い分。
初めて検査を受けに来た時とその結果を聞きに来た時は、圭さんが一緒に診察についてきてくれたんだけど、あとから矢野先生に聞いた話だと、やっぱりあの時は半ば無理やり予定を調整していたらしい。
それだけ心配してくれていたんだと嬉しい反面、圭さんの仕事の負担になっていたことが、やっぱり申し訳なくて。
『桐生の外来担当の日にすれば、いくら過保護なアイツでもさすがに動けないからね』
そうニヤッと笑って言った矢野先生に私も大きく同意した。
圭さんの心配性ぶりは嬉しいけれど、今はすっかり調子もいいし、無理して診察についてきてもらう理由もない。
圭さんにしてみれば、かなり不服みたいだけど、私としては矢野先生の気遣い(?)は有難かった。
圭さんにはちゃんとお仕事に集中してもらいたいから。
とは言っても、一人で待つ時間は意外にも寂しいんだな・・・なんて思ってしまうのは、かなり圭さんに依存してしまっている証拠だろうか?