巡り愛
「ただいま」
メールが来てから30分もしないうちに、圭さんは帰ってきた。
「おかえりなさい!」
玄関先に圭さんを出迎えに行くと、笑顔の圭さんに腕を引っ張られて、キュッと抱き締められた。
その瞬間にドクンと心臓が暴れて、ドキドキと高鳴る。
何度も何度も数えられないくらい抱き締められているのに、やっぱり慣れない。
「会いたかったよ」
耳元で囁かれてますます心臓は暴れるし、顔が火照って熱くなる。
そんな私の反応を楽しむように圭さんはクスッと笑って、赤く染まった私の頬に軽くキスを落とした。
「お昼も一緒だったのにね。でも、一緒だった分、別れた後が寂しくて余計に会いたくなったんだ」
目を細めて私を見下ろす圭さんは、艶っぽくて男の人なのにとても綺麗で。
クラクラしそうになるのをグッと耐えて、私は堪らなくなって圭さんの胸に顔を埋めた。
「私も・・会いたかったよ」
ギュッと抱き締め返す私を圭さんも同じように強く抱き締めてくれて。
もう一度、私の頬にキスをすると、私の腰に腕を回して一緒にリビングへ向かった。
「“食後のデザート”を先に食べたくなっちゃったけど、まずはあいが僕のために作ってくれた夕食を食べようか」
「・・・うん」
“食後のデザート”が何を指すのか、病院での会話を思い出して理解した私は、真っ赤になった顔を圭さんの胸元に隠しながら小さく頷いた。
「そういう可愛い反応すると、やっぱり先に食べたくなっちゃうな」
「う・・・やっぱりまずはご飯を食べようよ。今日は全部圭さんの好きなものばっかりだからね」
顔を赤くしたまま慌てる私に、圭さんは声を上げて笑うと「ご飯楽しみだな~」と子供みたいに無邪気な顔をして見せた。