巡り愛
圭さんはテーブルに並べた料理を全部『美味しい』と言って、あっという間に平らげてくれた。
笑顔で食べてくれる姿がやっぱり嬉しくて、私もずっと笑顔でそんな圭さんを見ていた。
食事の後、少しまったりとしながら並んでソファーに座ってお茶を飲んでいた。
それまで他愛のない話をしていた圭さんは、不意に持っていたカップをテーブルの上に置いて、私へ視線を向けた。
それにつられるように私も圭さんへ顔を向けると、圭さんは私の肩に手を回して抱き寄せた。
「今日は色々ごめんね」
「え?」
何に対しての『ごめん』なのかがすぐにわからなくて、私は抱き寄せられた腕の中からキョトンと圭さんを見上げる。
「突然、北野と会うし。色々変なことを聞かせちゃったし」
柔らかく笑いながらも、少し低く響く声は真剣で。
私は圭さんがそんなことを気にしていたなんて夢にも思っていなかったから、びっくりした。
「全然平気だよ。最初はちょっとびっくりしたけど、北野さんもいい人だったし。それに私の知らない圭さんのことを聞けたのは、嬉しかったし」
「・・・嬉しかった?」
私の言葉が意外だったのか、圭さんは数回瞬きをして私をじっと見つめた。
私はそんな圭さんに、にっこりと笑って頷いた。