巡り愛


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朝、目が覚めて思ったこと。


昨日の出来事は全部夢だったんじゃないか・・・?


ベッドの上でまだ開けきらない瞼をこすりながら、そんなことを思っていた。
でも枕元でメールの着信を知らせるランプの点滅する携帯を開いて、そのメールを確認した私は甘酸っぱいような幸せな気持ちで満たされた。


『あい、おはよう。
 昨日は遅くまで電話していて、ごめんね。
 キミに出逢えて・・・本当に嬉しくてはしゃぎすぎてたみたいだ。
 でも、今夜も電話してもいいかな?
 キミの声が聴きたい・・・今もね。

 仕事頑張って。
 また夜に。

 圭。』


圭さんからのメールに、寝起きだというのにドキドキして、顔が赤くなる。
そのメールを読みながら、私は昨日の出来事や夜にかけてくれた電話のことを思い出して、ベッドの上で一人、にやけてしまった。


私も圭さんへ返信を送る。


『おはようございます。
 昨日は私もとっても楽しくて、時間も忘れていました。
 ・・・圭さんの声、私も聴きたいです。
 今夜もお電話待ってます。

圭さんもお仕事頑張って下さい。
また夜に。

あい。』


そんな他愛ない内容のメールなのに、送信ボタンを押すだけでドキドキした。


ドキドキしたまま、ベッドから抜け出して朝の支度をする。
ホットココアにトーストという軽い朝食を食べていると、メールの着信音が鳴った。


『おはよう。
 返信ありがとう。
 それだけで嬉しくて、今日1日頑張れるよ。
 また夜に電話するから』


『はい、電話待ってます』


私もそれだけ返信して、洗い物を済ませて家を出た。


気持ちはふわふわしたまま、浮足立ってる。
昨日の朝とは全く違う自分の心に、自分でも可笑しくて笑ってしまうくらいだ。
まだ出逢って1日。
なのに、一度自覚した想いはたった1日にも満たない時間なのに、あっという間に膨れ上がっている。
それも私の心の中にいた“前世の私”のせいなのか。
それとも、圭さんが素敵すぎるからなのか。


きっと、どっちもだな。


私は一人で問答でもしている気になりながら、自分の中で納得した。


圭さんに恋している自分自身をはっきり自覚して。


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