巡り愛
少し高めで、甘いトーン。
でもどこか澄んだ凛としたその声も記憶と同じ。
―――…キミはやっぱりキミなんだ。
「あの・・・ホントにありがとうございました」
もう一度頭を下げて、行ってしまおうとするキミの腕を僕は咄嗟に引き止めた。
「あい・・・」
そう名前だって知っている。
何度も心の中で呼んだその名前を呼んで引き止める僕を、キミは驚いて見上げた。
大きな瞳をもっと大きくさせて、瞬きを繰り返すキミが愛しくて。
今すぐに抱きしめてしまいたい。