巡り愛
そんな衝動を抑えて、僕は努めて冷静に静かな声で続けた。
「あい・・・さんだよね?」
逃がさないように腕を掴んだまま、小さな声で確かめる僕を訝しげに見つめて、あいが微かに頷いた。
やっぱりキミは僕の心に住み続けているキミだ。
僕はあいを怖がらせないように。
逸る気持ちを抑えて、努めて冷静に声を掛けた。
「・・・えっと、今少し時間はあるかな?」
「え?」
あいが訝しそうな視線のまま、小さく首を傾げて僕を見つめる。
「もしよかったら・・・少しキミと話がしたいんだけど」
静かにゆっくりとあいに話しかける。
今ここであいと別れてしまったら、次があるかどうかなんてわからないから。
心の中は必死だったけれど、それを見せないように続けた。