巡り愛
圭さんと二人で朝食を食べて、さっと身支度を整えて二人で家を出る。
なんだかそれだけのことが、すごく新鮮でふわふわするほど、幸せだった。
いつものように電車で出勤するつもりだった私だけど、圭さんに連れて行かれたのは近くのコインパーキングだった。
驚く私をよそに圭さんは『どうぞ』と車の助手席のドアを開けた。
私は促されるまま、その車に乗り込んで、遅れて運転席に乗り込んできた圭さんを見上げた。
「圭さん、車で来てたんですね」
「うん、あの時間は電車も動いてなかったし。少しでも早くあいのところに来たかったから。同僚の車を借りてきたんだ」
圭さんはにっこり笑って、手慣れた手つきで車のエンジンをかけた。
お友達の車なのに、まるで自分の車のような自然なその仕草に、私はなぜかドキドキした。
「圭さん、運転できるんですね」
「ええ?僕って車の運転できないように見えるかな?」
照れ隠しで言った私の言葉に、圭さんは前を見たまま苦笑いした。
「いえ、そういうわけじゃなくて・・・車を運転する圭さんを初めて見るから・・・」
その姿がかっこよくて、ドキドキするなんて、恥ずかしくて言えない。
言葉を濁す私をちらっと見た圭さんは、嬉しそうにニヤッと口角を上げた。
・・・・・私の心の中はお見通しなんだろうな。
ハンドルを握る姿もすごく様になっていて、かっこよくて。
私はずっと運転する圭さんの横顔に見惚れていた。