巡り愛
あいを抱き締めたい。
甘い香りのする髪に顔を埋めて、キスをして。
あいを今すぐに感じたい。
ほんの数分前まで一緒にいたのに、すでに僕はあい不足になってる。
重症過ぎて、ヤバいだろ。
僕はそんな愚かなまでにあいに溺れている自分自身に自嘲して、長い溜息を吐き出した。
それに。
解決していない問題がまだ残っている。
僕はフロントガラス越しに頭上の建物を見上げて、もう一度、溜息を吐いた。
あいをこれ以上、不安にさせないために。
僕は北野とのことをちゃんと解決しなければいけない。
あんなことを起こした北野と向き合う決意をして、僕は車を後にした。