必然トラップ【おまけ追加】
すると。



「あれ? 倉本じゃん」



背後から自分の名字を呼ばれて、私はスプーンを持ったまま振り返った。



「あ、速見くん」



そこにいたのは去年1年間同じクラスだった、速見くんだ。

彼は友達と3人で来たらしく、私ひとりで座っているテーブルを見てフッと笑った。



「なに倉本、女ひとりでパフェ食ってんの? サミシー奴」

「う……もぉうるさいなぁ~」



イヤミ~な彼の言葉に、ぐっとスプーンを握る手に力を込めてくちびるを尖らせる。

そうそう、速見くんてなかなかイジワルなんだよね。顔がいいからって、私は騙されないぞ。

つーんとわざとらしくそっぽを向いた私にまた笑って、速見くんはトン、とテーブルに片手をついた。



「拗ねんなって。そういえば、倉本のクラスって何やってんの?」

「ヨーヨー釣りと輪投げと綿あめだよ。夏祭りがテーマなの」

「へぇ」



後で覗いてみるか、なんて友達と話している速見くんに、話の流れから今度は私が口を開く。
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