蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
蓮杖 耕介の最初で最後かもしれない推理

運の悪い人達

硬い感触が頬に当たる。

「む…う…」

蓮杖 耕介(れんじょう こうすけ)は右頬に埃をつけたまま、ようやく目を覚ました。

「お目覚めかしら、お兄さん」

身を起こし、ヨレヨレのダークのスーツについた埃も払っていると、そんな声が聞こえる。

…薄闇の中、目を凝らすと少女がソファに座っていた。

背中まで届くポニーテールの黒髪、眼鏡をかけた制服姿の少女。

傍らには同じ制服の、背の低いオドオドした少年が立っている。

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