蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
事務所に二人きりになってしまった俊平と冴子。

「なぁんだ…お留守番かぁ…」

鞄をソファに置き、自分も腰掛ける冴子。

ぶっきらぼうだが話の面白い耕介と、他愛ない会話をする事がここでの唯一の楽しみだというのに、当の耕介が出かけてしまったのではつまらない。

それは俊平も同様で。

「でも留守番頼まれたんじゃ帰れないね…」

事務所の中を歩き、何となく。

「へへ」

いつも耕介が座っている窓際の椅子に座る。

キャスター付き、革張りのちょっといい椅子。

座り心地も良くて、すっかりクッションが駄目になったソファよりも気分がいい。

座っているだけで、何だか偉くなった気分になる。

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