蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
「……」

弁当の容器をテーブルに置き、雛罌粟はスルリと制服のリボンを解く。

「濡れた制服乾かすついでに…シますか?」

しどけない仕草を見せる雛罌粟だったが。

「気分じゃねぇよ」

視線すら合わさないまま、耕介は拒否した。

珍しい。

普段は来る者拒まず、断るどころか耕介の方から強引に押し倒すのに。

見れば、食の方もあまり進んでいないようだ。

箸を割って弁当の蓋を開けたものの、まだ一口も食べていない。

< 124 / 440 >

この作品をシェア

pagetop