蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
夏ばてだろうか?

いや、バイタリティ溢れる耕介にそういう言葉は縁がない。

先日も駅前の牛丼屋で大盛りを掻き込んでいるのを目撃した。

食欲がないのは別の理由のようだ。

黙々と食事をしつつ、雛罌粟は耕介を観察する。

心ここに在らずといった様子の耕介。

視線は弁当でも雛罌粟でもなく、窓の外。

とはいえ、景色が気になっている様子ではない。

視線は外でも、考えているのは別の事のようだ。

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