蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
「こんにちは」

少女は、はにかんだように微笑む。

その表情が輪をかけて可愛らしい。

童話の中に出てくる少女のようだ。

「見かけない顔ね、この辺に住んでるの?」

にこやかに問いかける冴子に。

「ううん、ここには今日初めて来たの」

少女は答える。

流暢な日本語だ。

「何読んでるの?」

俊平が近づいても、警戒する様子はない。

良く言えば素直な、悪く言えば隙だらけな少女だ。

「これ?これはグリム童話よ」

少女は俊平に微笑みかけた。

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