蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
ウェンディ・ティンカーベルの本質を知らされ、沈黙に包まれる事務所内。

時計の秒針の音だけが響く。

と。

「おい…そういや今日は雛罌粟来ねぇな」

ふと時計に視線を送った耕介が言う。

午後7時半。

話し込んでいるうちにこんな時間になった。

夏とはいえ、そろそろ日没が近い。

外は血のような真紅の夕陽が辺りを照らしている。

この時間ならば…いや、いつもならば一番乗りで事務所に顔を出している雛罌粟だが…。

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