蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
太ももの辺り、腱や筋、重要な血管などは回避できた。

が、出血は少なくない。

動く度に痛みも伴う。

「やってやったぜぇえぇ…」

ベロリと舌を出して笑うウェンディ。

「ボクサーにとってフットワークが使えないのは致命的だよなぁ…」

「貴様…」

着ていたTシャツを脱ぎ、止血の為に右脚に縛り付ける夏彦。

それでも血はシャツを真紅に染めて滴り落ちる。

「おぅ、賞金稼ぎ」

雛罌粟を庇うように立っていた耕介が、夏彦に声をかける。

「交代するか?」

「結構だ」

尚もピーカーブースタイルを崩さない夏彦。

「コイツは俺の賞金首だ」

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