蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
「何スカしてやがるっ!」

フットワークの使えなくなった夏彦に襲い掛かるウェンディ。

特殊な形状のククリナイフを自在に操り、夏彦を追い詰める。

夏彦は右脚を引き摺りつつ、辛うじて致命傷だけは回避。

とはいえ、切っ先が何度も体を掠める。

その度に赤い筋が体に刻まれた。

それでもハードディフェンスで正中線だけは守りつつ、じっと隙を窺う。

反撃の糸口を摑む為に。

「何か狙ってる顔だな」

肉を斬る感触に恍惚としながら、ウェンディが表情をだらしなく緩ませる。

「だが無駄だぜ色男!フットワークの使えねぇお前に、もう反撃のチャンスは…」

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