蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
そんな耕介とレイノルドの様子を、ホテルの屋上から見つめる影があった。

北欧系の顔立ち。

ブロンドの長い髪。

豊満な体にはグレーのスーツではなく、ブラックレザーのボディスーツを纏っていた。

耕介にジェシカ・コールマンと名乗った女。

つまりレイノルドの言うサハクィエルである。

まんまと彼女の嘘に騙され、レイノルドと交戦する耕介を見る。

その顔には薄笑み。

「なかなかやるじゃないの…組織の構成員と互角なんて、街のしがない私立探偵にしておくには勿体無いわね…でも…」

サハクィエルは左手にはめた時計を口元に寄せる。

「生憎と貴方は捨て駒に過ぎないのよね…『照射』」

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