蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
先程までの劣勢が嘘のようだった。

だがこれは当然といえる。

相手の命を気遣う戦い方と、殺す気で仕掛ける戦い方。

本気の度合いが歴然とする。

それが『人を殺すという事実を受け入れる』という事。

殺すという行為に躊躇いを感じなければ、戦闘においてこれ以上の強みはない。

『殺せる』という覚悟は、持てる技術と力を最大限に発揮できるという事なのだ。

しかし、同時にそれは二度と消える事のない『心の闇』を抱えるという事。

人殺しを肯定するという事は、人間の姿のまま、別の怪物に変貌してしまうのだ。

< 235 / 440 >

この作品をシェア

pagetop