蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
この場に居続けるのは、警察に見つかる可能性もあって上手くない。

とりあえず耕介と冴子はBMW735iに乗り込み、省吾の運転でその場を離れる。

「で…何でこんなバッグにかくれんぼしてたんだ、お前」

耕介が空のキャリーバッグをバンバン叩く。

「好きで入る訳ないじゃないですか！言ったでしょ！誘拐されたんです！」

冴子は言い返す。

「何故君は誘拐されたんだ？」

運転しながら訊ねる省吾に。

「コイツの通ってるのはお嬢様お坊ちゃまが通う名門校だからな」

耕介が言う。

冴子は…ああ見えて俊平も、実はいいとこの子である。

『Misono』と言えばファッションブランドとして有名だし、『石動金属』は鉄鋼業界では大手だ。

そんな家の子供である冴子が、身代金目当ての誘拐犯のターゲットとされても何ら不思議ではない。

冴子が誘拐された事をテレビなどで騒いでいないのは、まだ非公開捜査中なのだろう。

< 273 / 440 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop