蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
さて、長話もしていられないようだ。

パトカーのサイレンが近づいてきた。

「それじゃあ俺は行く」

アクセルを踏み込み、走り去っていくパールホワイトのBMW735i。

恐らくはパトカーに追跡されるだろうが、省吾の腕なら難なく撒いてしまうだろう。

「…珍しいですね、蓮杖さんが他人を勧誘するなんて」

冴子が耕介の横顔を見る。

「ああ、BMW735iの乗り心地が悪くなかったんでな」

おどけたように耕介は笑う。

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