蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
省吾がこんな少年兵に発見されてしまったのは、あまりにも殺気がなかったから。

この少年は戦場での戦い方も、殺し合いの意味も理解していない。

わかっていないまま戦場に兵士として駆り出されてしまっている。

いわば生まれた時から、戦争が日常と化してしまっているのだ。

だから殺気もないし、当たり前のように他人に銃口を向ける。

その事に、省吾は怒りさえ覚える。

ゆっくりと振り向く省吾。

無垢な瞳のまま、少年は彼を見つめる。

「銃を捨てろ」

「……」

言われるままに手にしたFA-MASを足元に置いた省吾は。

「…フッ」

呆れたように少年を嘲笑った。

「セイフティ(安全装置)がかかってるぞ、坊主」

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