蓮杖探偵事務所の飄々事件簿

「やれやれだ…」

スタスタと歩く耕介。

とりあえず部屋に唯一あるドアのノブに手をかけるが。

「無駄よ、部屋の外から鍵がかかってる…そんなの一番に調べたわ。貴方が眠っている間にね」

眼鏡の少女が溜息をついた。

「まずはここから出て、場所の確認をした方がいいな…」

大学生が言う。

先程からスマホを操作しているが、メールも電話も全く使えない。

どうやら電波がまるで届かない場所のようだった。

建物自体が相当な山奥なのだろうか。

部屋を出て、ここにいる五人で手分けしてこの場所から帰る方法を探さなければ。

「あのっ」

小柄な少年が挙手する。

「とりあえずここにいる五人で、自己紹介しておきませんか？しばらくの間は協力して行動しなきゃいけない訳だし…名前くらい知っておいた方が…」