蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
「とりあえず二人とも落ち着け!」

夏彦が冴子と俊平の肩を叩く。

「…大丈夫だ、君達の話は信じる…実は…俺達も見たんだ。廊下を横切る白い影を…な?」

夏彦は耕介の顔を見る。

「……ああ」

無精髭を撫でながらバスタブを見ていた耕介も、渋々といった様子で頷く。

「し、白い影…?」

見る見る顔色が悪くなる冴子。

「それって…」

俊平の表情も強張る。

「ああ」

夏彦は言う。

「俊平君の言う『悪い霊』…そんなのが、この建物には本当にいるのかもしれない…」

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