蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
悪霊の棲む建物。

凍りつく一同。

そんなものが棲み付いている建物に、今自分達はいるのか。

出口も分からず、誰に連れて来られたかも分からないまま、閉じ込められてしまっているのか。

そして悪霊が、雛罌粟を連れ去ってしまったのか。

「嫌っ!嫌よっ!」

冴子が頭を抱え、その場に蹲る。

「そんなの嫌!悪霊に呪い殺されるなんて嫌!帰して!もう家に帰らせて!死にたくない!死にたくないよぉっ!」

「冴子さん、落ち着いて、大丈夫、大丈夫だから…」

俊平が何とか宥めようとするものの。

「何が大丈夫なのよっ?」

冴子は逆に反論する。

「悪霊なのよっ?霊なのよっ?どうやって抵抗するのっ?ここには御祓いなんて出来る人も霊能力者もいないのよっ?みんな雛罌粟さんみたいにどこかに連れ去られて、呪い殺されてしまうのよっ!」

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