蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
混乱する面々。

しかしそんな中。

「下らんな」

一人冷静に呟くのは耕介だった。

声のした方を見る冴子達。

耕介はいつの間にかバスタブの近くに移動し。

「!?」

ヨレヨレのスーツの片袖を捲って、溜まった濁り水の中へと手を突っ込んでいた。

「れ、蓮杖さん…!」

俊平の声が引き攣る。

無理もない。

あの濁った水の中から、無数の気味の悪い腕が伸びてきたのを俊平は目撃している。

そんな腕が潜んでいるかもしれない水の中に手を入れるなんて…。

もしあの腕に引き摺り込まれたらどうするのか。

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