蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
「そうだな」

まずは大学生が言う。

「南部 夏彦(なんぶ なつひこ)、大学生だ」

続いて眼鏡少女と少年。

「私は聖園 冴子(みその さえこ)、こっちは石動 俊平(いするぎ しゅんぺい)。同じ学校の先輩後輩よ」

名乗った面々は、部屋の隅に立っている前髪パッツンの少女に視線を向ける。

「…夏目 雛罌粟(なつめ ひなげし)です。高校生です」

雛罌粟はか細い声で呟いた。

「…後はあんただぞ」

夏彦が耕介の背中を見つめる。

「…合コンじゃあるまいし」

ドアの前で背中を向けたまま。

「蓮杖 耕介だ」

彼は名乗り、その直後。

「!」

カチン、と。

小気味いい音と共にドアの施錠が開いた。

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