蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
「セ…」

かぁあぁっ、と頬を赤くする冴子。

「あんたこんな未成年を…」

前髪の奥で、夏彦の視線が鋭くなるのを感じる。

が。

「こんな所で揉めるのは上手くねぇんじゃねぇの?」

軽い口調で言いながら、耕介は部屋の外に出る。

「買春で訴えるのも制裁に自慢のボクシングでぶん殴るのも、外に出てからだな」

「!」

夏彦がハッとする。

彼は大学生と名乗っただけだ。

ボクシングをやっている事は告げていない。

なのに何故…?

「よく練習してんだな」

耕介は顎をしゃくって夏彦の拳を指す。

「拳ダコ…それ見りゃ言わなくても一目瞭然さ」

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