株式会社「C8」





此所は裏の企業。

高額の報酬で、依頼主からの要望を必ず叶えると言う組織。

メンバーは8名。

社長の浩子をトップに、それぞれが依頼をこなす。簡単な物から危険な物まで。金さえ払えば法は関係無い…と言うのが彼等の考え方。

人の目が届かないような、ひっそりとした場所に彼等はいる。故に、知る者ぞ知る組織。依頼に来る人間は社会の裏の人間達ばかり。

口外禁止のルールを守らない依頼主には、容赦はしない。捕らえ次第殺す。

彼等の前に、常識なんて通用しない。




「他の連中は?」



「尊以外は全員依頼。」



「ふーん。尊は?」




一通り書類に目を通した浩子はソファーを立ち、近くにあったシュレッダーのスイッチを入れる。そして、書類の束を一気に差し込んで作業の終わりを待つ。

面倒だが、八代の質問にも答えなければ。
人差し指をピンと立て、上の階だと教えてやる。しかし、返ってくる返事は「ふーん。」とどうでも良さげ。それなら聞かなければ良いのに。

作業終了を告げる電子音が鳴ると、二階のフロアを出て外階段へと向かう。

この廃ビルには非常階段が無い。外階段のみで階を移動する。小さなエレベーターもあるのだがこれまた長い間放置の上、故障中。




「着いてくるな、鬱陶しい。」



「暇なんだよ。」




上の階へ上がり、ドアを開ける。

フロア内がひんやりとしていたことに八代は眉をしかめた。

昨日まで三階には無かったエアコンが付いている。




「おいっ!何でこっちにエアコンが付いてる?」




騒ぐ八代をスルーして、社長用のデスクに腰をかけた浩子はソファーで読書をしていた男に視線をやる。

物の配置は二階と少し違う。社長用のデスクがあり、仕切りの奥には依頼の報告書や履歴書等、書類庫がある。ソファーは二階と同様の配置で置いてあり、液晶テレビも完備。後は、パソコンを載せた事務机が二つ並んでいる。



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